予思えらく、日置氏は明応年間吉田上野介重賢に伝授なせしなれば、支那崇禎年間に姓は高、名は穎、字は叔英、明末の人に射の上手
ありて、骨法射形を改良なし射書を著す、皇国日置氏と相同じ。恐らくは、彼の射書伝来して遂に射形を同じくせしならん。悉しきことは、
予が説明を聞かれよ。予此道に志深き人に於ては口伝口訣惜むこと無からん。
射に真行草あり。的前則ち普通射形を真と言い。繰矢前・矢文の法を行と言い、指矢前・堂射射形を草と言う。
此指矢前に種々の口伝あり。又射礼とて式法あり。之に古代朝廷に行はるる大射・賭弓等の礼射あり。又代々の
武将行う処の礼式あり。礼式に家々の伝あり。所謂逸見・武田・小笠原・伊勢・吉良等ありて、家伝大同小異
あり。是又志あらん人には惜む事無く授くべし。
文射武射の両用ありて、文射とは礼射にして大射式を始めて種々の式あり。武射とは貫革を主とし戦場の射法
矢入矢合、槍下槍脇狭間の射様、床下の射又五射等あり。何れも故実種々あるなり。又弓矢弦指機に製作法量掛合
に定法ありて、此釣合を失う時は射術妙手と雖も中る事を得ざる、是定理なり。故に此掛合を知らざるは射に益
なし。既に明の高穎射学正宗及び指迷集に詳かなり。合せ見るべし。
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